2015.7.11 神奈川県鎌倉市
「ふたつの住宅を敷地割りから設計する」
土地を分割し、別々の家族が暮らすためのふたつの住宅を鎌倉材木座で設計することになった。海岸から歩いて1分ほどの距離にある敷地は、海風の香る穏やかな場所である。その土地には大きな樹木と共に古い民家が残っていて、解体整地前は鬱蒼としている印象だったが、不整形な敷地形状は周囲に対してヒダのような役割を果たし、この場所に暮らしはじめる家族にとって、土地との豊かな関係を与えてくれそうな予感がした。
敷地境界線を決める際、塀を用いずに互いの生活干渉を防ぎ、周囲との適度な距離感を保つためには、敷地と建物の大きさ(建築面積)の関係と配置計画がとても重要だと考えた。また面積を等分する必要があったため、境界線の設定と、それに伴う配置計画では微調整を繰り返した。
同時に、それぞれの家族がどこでどのような時間を過ごすのか思いをめぐらし、敷地という大きな枠組みの中で、ふたつの住宅の大まかなプランのゾーニングを外部との繋がりを意識しながら検討した。建築面積については許容値の半分以下で計画されているが、必ずしも床面積の広さが生活の豊かさに繋がるわけではなく、材木座の住宅の場合この小ささが、生活と外部との密接な関係をつくり出している。
占有はできなくても、互いの土地を視覚的、意識的に共有できる環境は、緩やかな起伏も手伝い、自然に庭と近い生活を誘導した。そのためふたつの住宅は、結果的に構成としては近くなり、1階にキッチンとダイニング、2階に家族の寝室と共有のスペースが配置されている。開口の位置と大きさについては、外部と繋がりながらそれぞれの生活が干渉しすぎないよう意識し、開口だけでは難しい見え隠れの操作は、樹木を用いて大きさと配置を念入りに計画している。
いずれ緑が増え、樹木が育つと庭は雑木林のようになり、単に住宅に付属した庭ではなく、周囲の敷地を含めた地域全体のバッファゾーンとして、公園のような場所になることを願っている。
※新建築住宅特集2015年01月号より抜粋 この記事にコメントする
土地を分割し、別々の家族が暮らすためのふたつの住宅を鎌倉材木座で設計することになった。海岸から歩いて1分ほどの距離にある敷地は、海風の香る穏やかな場所である。その土地には大きな樹木と共に古い民家が残っていて、解体整地前は鬱蒼としている印象だったが、不整形な敷地形状は周囲に対してヒダのような役割を果たし、この場所に暮らしはじめる家族にとって、土地との豊かな関係を与えてくれそうな予感がした。
敷地境界線を決める際、塀を用いずに互いの生活干渉を防ぎ、周囲との適度な距離感を保つためには、敷地と建物の大きさ(建築面積)の関係と配置計画がとても重要だと考えた。また面積を等分する必要があったため、境界線の設定と、それに伴う配置計画では微調整を繰り返した。
同時に、それぞれの家族がどこでどのような時間を過ごすのか思いをめぐらし、敷地という大きな枠組みの中で、ふたつの住宅の大まかなプランのゾーニングを外部との繋がりを意識しながら検討した。建築面積については許容値の半分以下で計画されているが、必ずしも床面積の広さが生活の豊かさに繋がるわけではなく、材木座の住宅の場合この小ささが、生活と外部との密接な関係をつくり出している。
占有はできなくても、互いの土地を視覚的、意識的に共有できる環境は、緩やかな起伏も手伝い、自然に庭と近い生活を誘導した。そのためふたつの住宅は、結果的に構成としては近くなり、1階にキッチンとダイニング、2階に家族の寝室と共有のスペースが配置されている。開口の位置と大きさについては、外部と繋がりながらそれぞれの生活が干渉しすぎないよう意識し、開口だけでは難しい見え隠れの操作は、樹木を用いて大きさと配置を念入りに計画している。
いずれ緑が増え、樹木が育つと庭は雑木林のようになり、単に住宅に付属した庭ではなく、周囲の敷地を含めた地域全体のバッファゾーンとして、公園のような場所になることを願っている。
※新建築住宅特集2015年01月号より抜粋 この記事にコメントする
設計・監理
川辺直哉建築設計事務所 担当/田岡博之
構造設計
多田脩二構造設計事務所
用途
戸建て住宅
敷地面積
Y邸148.78㎡ M邸148.78㎡
建築面積
Y邸36.76㎡ M邸39.05㎡
延床面積
Y邸73.52㎡ M邸78.10㎡
構造
木造
規模
地上2階
工期
2013.10〜2014.07
施工
下川工務店
植栽計画
hondaGREEN
受賞
第59回神奈川県建築コンクール優秀賞
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