2015.7.14 神奈川県川崎市
「近景と遠景をつなぐ輪郭」
必要な面積と生活動線を緩やかなゾーニングで組立て、敷地の中でのそれらの配置検討を繰り返していくなかで、その軌跡が必要面積を確保するために広がり、隣接敷地の空地を取り込むべくして窪み、徐々にそれらが建築の輪郭として現れ始めた。また敷地面積に余裕があったため、中央に空地を作ることができ、結果的に外側の輪郭と内側の輪郭をもち傾斜方向に開いた外形となった。
平面的にみると4つの矩形が隅で寄り添った形状となっており、各矩形にそれぞれ用途があるが、内部空間を緩やかに繋げることで適度な距離感をもたせた。また各々の場所が窪みを介して外部との関係をもち、さらに梁を露出した天井面を軒として連続的に外部に張り出すことで、輪郭に沿って内外の場所をつくっている。
外側の輪郭は開口を抑え、敷地周囲に近接した「近景」との関係をつくり、外部の空地を積極的に敷地内に取り込む役割をもつ。内側の輪郭は開口を多く設け、中庭を介して空や遠くの山並みといった「遠景」と関わりをもたせることを意図している。この建築では、この輪郭にそって日々の移動を繰り返す中で、「近景」と「遠景」が結びつけられ、時間の経過とともに生活の輪郭となる幾重もの線が重ねられていくだろう。
この「近景」と「遠景」に対する意識は、本計画のような傾斜した土地形状のもつ特性が、建築の構成により顕在化され、かつ角地という条件が重なって現れたものであると言える。いわば特殊解であるけれども、日々の生活を受容し周囲との関係をつくる住宅設計に対する汎用性をもつと考えている。
※新建築住宅特集2015年05月号より抜粋 この記事にコメントする
必要な面積と生活動線を緩やかなゾーニングで組立て、敷地の中でのそれらの配置検討を繰り返していくなかで、その軌跡が必要面積を確保するために広がり、隣接敷地の空地を取り込むべくして窪み、徐々にそれらが建築の輪郭として現れ始めた。また敷地面積に余裕があったため、中央に空地を作ることができ、結果的に外側の輪郭と内側の輪郭をもち傾斜方向に開いた外形となった。
平面的にみると4つの矩形が隅で寄り添った形状となっており、各矩形にそれぞれ用途があるが、内部空間を緩やかに繋げることで適度な距離感をもたせた。また各々の場所が窪みを介して外部との関係をもち、さらに梁を露出した天井面を軒として連続的に外部に張り出すことで、輪郭に沿って内外の場所をつくっている。
外側の輪郭は開口を抑え、敷地周囲に近接した「近景」との関係をつくり、外部の空地を積極的に敷地内に取り込む役割をもつ。内側の輪郭は開口を多く設け、中庭を介して空や遠くの山並みといった「遠景」と関わりをもたせることを意図している。この建築では、この輪郭にそって日々の移動を繰り返す中で、「近景」と「遠景」が結びつけられ、時間の経過とともに生活の輪郭となる幾重もの線が重ねられていくだろう。
この「近景」と「遠景」に対する意識は、本計画のような傾斜した土地形状のもつ特性が、建築の構成により顕在化され、かつ角地という条件が重なって現れたものであると言える。いわば特殊解であるけれども、日々の生活を受容し周囲との関係をつくる住宅設計に対する汎用性をもつと考えている。
※新建築住宅特集2015年05月号より抜粋 この記事にコメントする
設計・監理
川辺直哉建築設計事務所 担当/上野宏岳
構造設計
S3Associates
用途
戸建て住宅
敷地面積
207.21㎡
建築面積
78.47㎡
延床面積
103.88㎡
構造
木造
規模
地上2階
工期
2014.05〜2014.12
施工
コラム
植栽計画
タカ・グリーン・フィールズ
受賞
第59回神奈川県建築コンクール優秀賞
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