2020.10.30
建物配置と「新たな窓辺」
下北沢の住宅地に建つ15戸の集合住宅。南側は土地のレベルが下がり視界が抜け、東側は隣接する集合住宅の空地が面しているため、南東に建物を寄せることで建物全周が空地となり周囲と適度な距離を確保している。建物周囲の空地を積極的に内部に取り込むため、開口分に奥行きの深い出窓形式を採用し、外部と内部との間に「新たな窓辺」を作り出している。コンパクトな室内ではあるが、窓辺を介して外部との接点をもつことで、シンプルなプランでありながら、日々変化する環境を感じながら生活を送ることができる。第一種低層住居専用地域という建蔽率と容積率の厳しい敷地条件下で、出窓を採用することにより、面積としては制限がある中で、空間の拡張と意識の広がりを実現している。
地域と繋がる風景
周囲には集合住宅や戸建て住宅が建ち比較的敷地の単位も大きく、緩やかに建物に囲まれている。周囲に背を向け、生活を内部で完結させずに、外部と積極的に関係をつくりたいと考えた。周囲は極端に近接しているわけではないが、大きく開放的な空地でもない。言い換えればインテリアの延長のような空地であった。そこで考えたのが、大きく開放するだけでなく、内外をまたぐ開口に奥行きをもたせることで、室内でも外部でも無いような場所「新たな窓辺」をつくることである。基準法上は外壁面からの出幅が500mm未満、床からの高さが300mm以上、天井から出窓の上枠までは立下がりを設けるという基準があるが、用途がない場合は容積不算入となる。専用庭を持たない2階以上の住戸には床からの高さを750mm、室内へ150mm突出した出窓を設け、デスクやヌックといった家具のように使える出窓を提案した。コロナ禍でテレワーク需要が増え、在宅時間も長くなり、家から出ることが少なくなると外部への欲求が高まる。見慣れた出窓というアイテムを、大きさや形状、その質感(素材)を新たに再定義した。光沢をもたせた窓辺の枠は、周囲の風景を光や色などに変化させ、内部と外部の物理的距離を一気に縮めてくれる。変化するライフスタイルに対するひとつの選択肢として、建築がそのきっかけとなることを期待したい。
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下北沢の住宅地に建つ15戸の集合住宅。南側は土地のレベルが下がり視界が抜け、東側は隣接する集合住宅の空地が面しているため、南東に建物を寄せることで建物全周が空地となり周囲と適度な距離を確保している。建物周囲の空地を積極的に内部に取り込むため、開口分に奥行きの深い出窓形式を採用し、外部と内部との間に「新たな窓辺」を作り出している。コンパクトな室内ではあるが、窓辺を介して外部との接点をもつことで、シンプルなプランでありながら、日々変化する環境を感じながら生活を送ることができる。第一種低層住居専用地域という建蔽率と容積率の厳しい敷地条件下で、出窓を採用することにより、面積としては制限がある中で、空間の拡張と意識の広がりを実現している。
地域と繋がる風景
周囲には集合住宅や戸建て住宅が建ち比較的敷地の単位も大きく、緩やかに建物に囲まれている。周囲に背を向け、生活を内部で完結させずに、外部と積極的に関係をつくりたいと考えた。周囲は極端に近接しているわけではないが、大きく開放的な空地でもない。言い換えればインテリアの延長のような空地であった。そこで考えたのが、大きく開放するだけでなく、内外をまたぐ開口に奥行きをもたせることで、室内でも外部でも無いような場所「新たな窓辺」をつくることである。基準法上は外壁面からの出幅が500mm未満、床からの高さが300mm以上、天井から出窓の上枠までは立下がりを設けるという基準があるが、用途がない場合は容積不算入となる。専用庭を持たない2階以上の住戸には床からの高さを750mm、室内へ150mm突出した出窓を設け、デスクやヌックといった家具のように使える出窓を提案した。コロナ禍でテレワーク需要が増え、在宅時間も長くなり、家から出ることが少なくなると外部への欲求が高まる。見慣れた出窓というアイテムを、大きさや形状、その質感(素材)を新たに再定義した。光沢をもたせた窓辺の枠は、周囲の風景を光や色などに変化させ、内部と外部の物理的距離を一気に縮めてくれる。変化するライフスタイルに対するひとつの選択肢として、建築がそのきっかけとなることを期待したい。
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設計・監理
川辺直哉建築設計事務所
担当/石川誠大
担当/石川誠大
構造設計
多田修二構造設計事務所
用途
集合住宅
敷地面積
276.27㎡
建築面積
137.06㎡
延床面積
473.15㎡
構造
鉄筋コンクリート壁式構造
規模
地上4階
工期
2019年8月〜2020年10月
施工
FORM GIVING
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